たいらげたら眠る

今ウトウトしてたでしょ?

MACBETH


7月の7日。マクベス ライブビューイング in 大阪へ行ってきました。場所は梅田芸術劇場、私自身中に入るのは初めての経験。藤原竜也さんのハムレットを観劇しにきた友人を扉の前までお送りした時以来、あとは夜行バス乗り場に向かうときに前を通るくらい。

未だ、あのスクリーンを眺めているような心地さえします。帰ってこられない。皆さんがずっと考えてしまう気持ちがわかる。終わってからどっと押し寄せるこの感じ… まるちゃんにしか演じられないマクベス




14:00〜の部、開演の30分くらい前に着きました。駅から劇場に着くまでの間にオレンジのアイテムをお召しになった方々を発見し、のこのこと付いていく。とかくいう私も鮮やかなオレンジのスカート、なんだか特別な場所に向かうドレスコードのようでした。でも見た感じ、綺麗め:オレンジ:制服が6:3:1くらいだったしコンサート等のグッズを身につけてるひともあんまり見なかったし、みんな可愛かったです。


ホテルを通り抜けて劇場へ。それにしても良い天気だった。七夕の日に晴れてるって珍しいね?入り口横に飾られた例のポスター。道行く人が「おお…」と呟きながら見に来てた。この人が丸山くんだって、みんな分かってるのかしらと思いつつ眺める。


ちなみに真隣はMBSです。茶屋町はもうマルベスの支配下です。そしてお姉さんにチケットを渡して入場。赤と金を基調とした煌びやかな内装。入ってすぐ階段があり、上ると一階席に行ける。上らず左に進むとグッズ販売の列が見えた。並ばせてたお兄さんがイケメンだったのだけど、もしかして?(たぶんちがう)
販売の係りの方は四人くらい。スムーズに買えました。個数制限は5個まで。カレンダー思ってたよりも大きかった。パンフレット、帰ってから開けたけど臭くなかった…!(感動) あと紙質が好き。

小脇に抱えて階段を上る。私は終演後に行ったのですが、ここのトイレめっちゃ難易度高い造りをしておられた。個室はぜんぶで十何個あるんだけど横に二つに分かれて広がってて、しかし入口から出口までは縦に繋がってるもんだからどこ空いたのか、覗きにいかないとわからない。…うまく説明できないんですが!だから済んだひとが入口の並んでいるひとに (空きましたよ) とペコリ、するという思いやりの心で円滑に回ってた。


トイレ前の窓際に表に飾っていたのと同じポスターが、今度は金の額縁に入れられて置いてる。そこにも列ができててトイレ列かと思ったら謁見待ちだった!みたいな風景を何度か見た。一人ずつ写真におさめていくのだけど後ろの窓から光が差し込んでどうしても反射してしまう、私の前の奥様方が「ここ!ここが綺麗!」とベストポジションを見つけてくださり並んでるみんなに教えてくれた。ほっこり。 反対側には銀縁の子もいてた。麗しや。


扉がいくつかあって、中に入ると映画館のような大きいスクリーンにマクベス (黒文字)、その下にライブビューイングin大阪 (赤文字) と映し出されてた。私は一階席の12列でした。首も痛めることなくちょうど良い席、ほんとうにありがとうございます… 斜め前の方が広げたパンフレットを横目に後ろのお姉さんのコンサート話に耳を傾けて待機。会場全体はなんとなく薄暗くて雰囲気あるのに、いかんせん周りの会話がポップすぎて本当に今からここでマクベスが始まるのか実感湧かなかった。


が、グローブ座の映像がスクリーンにうつり、ザワザワする客席。座席前3〜5列くらいを含めて舞台全体が見えるアングル。固定カメラなんやね〜ってちらほら聞こえてきたし、私もそうなんかなあって思った。会場の諸注意アナウンスもそのまま向こうで流れてる声が聞こえてくる。休憩ないからトイレ今のうちやでー、とか。
全部の説明が終わり向こうが暗くなるのに合わせてこちらも段々暗くなり、完全に暗転したところでスクリーンも真っ暗に。バッと画面が切り替わったかと思えばもう始まってるから心の準備が追いつかなくて (おおお…) となった。


なんにも勉強せずに行ったものだから、正直やっぱり読んでおけばよかったなと後悔した。徐々に理解していける部分も勿論あるし、楽しいけれどやはり物語の筋書きくらいは知っていて損はなかったなあって。台詞は言葉こそ難しいけれど言い回しがとても綺麗で受け止めやすかった。舞台についてもシェイクスピアについてもド素人のわたしには、原作とどこがどう違うのか分からないので比べることはできないけど、一人の人間が堕ちていく様とそれに飲み込まれ巻き込まれていく人々の心を目の当たりにしながらも勿論一観客の私に成す術などなくて、どこにも向けることのできない気持ちがずっと今日まで続いている。


忘れられないまるちゃんの表情が幾つかあった。一つはダンカン王を殺し、返り血を浴びて部屋から出てきたマクベスが夫人に向かって「俺はやったぞ」と報告したところ。達成と絶望が綯い交ぜになったような表情だった。プレビューの会場では丁度その部分がアップになったのだけど長い髪の間から見える赤と瞳の黒のコントラストが鮮烈だった。
二つ目はバンクォー殺しを暗殺者たちに指示する場面。階段に腰掛け、刺客の頭を撫でながら言葉巧みに奮い立たせていく。すごく好きだったのにあのとき刺客に話していたまるちゃんのセリフが思い出せなくて、色んな方の感想を見てみても誰も書いてなくて。終わってからパンフ読んでまるちゃんも鈴木さんとの対談であげていて嬉しかった。あの王冠をつけて刺客を従えていたまるちゃんの顔は愛と無に染まっていて息をのむほど美しく、恐ろしかった。


あとは、チュー… チューよりもわたしは触り方が本当に「けしからん」と思いながら見ていました。壊れ物を扱うように優しくでも情熱的に夫人に触れるマクベス。かわいくもかなしい夫婦だった。人間のピュアな部分は良くも悪くも強くて儚いのだと教えてくれた二人だった。
夫人は原作では“オニババ”らしいし、マクベスが折角国王殺しを諦めかけてたのに「それでも男か!」みたいに焚きつけたときは (やめてやめて) と思ったけど、夫を信じ愛するが故に周りが見えなくなって自分すら分からなくなっていく様は酷く哀れで「もっと幸せな道があっただろうに」と一緒に泣くしかなかった。



観に行く前に「演出で声を上げちゃう人が…」みたいな呟きを読んだのだけど、ここかって何回か思った。確かに怖いしびっくりした。特にクライマックス、マクベスが討ち取られ扉に血がタラーと垂れてきて、その扉が開いたかと思えばマクダフがマクベスの頭を掴み歩いてきたときは内心 (ギャッ) って震えた。その後ずっと頭はハシゴ上に刺さってるものだから、終演後まるちゃんが出てきてやっとほっ…………っとした。それから時々生首のことを思い出してるんだけどその度に脳内のまるちゃんが(´∀`)生クベス!って言ってくれるから大丈夫。なんだろうこれ。

カーテンコールのまるちゃん、「今日は七夕だからかなのか分からないですけど何故か中継が繋がってるみたいで」…えええ“何故か”って!座長の希望も少しは入ってるのかと思ってたけど何故かって… ちょっぴり切ない… と思ったのはきっと私だけですか。
でも大阪に向けてキャストの皆さんに話し振ったりするのをみているとああ、この舞台の座長さんなんだなぁって。普段いじられることの多いまるちゃんが共演者さんたちをからかう様子がなんだか新鮮で良い関係なんだろうな〜〜とほろほろ。

あと開口一番「ハッピー七夕!」って出てきたお姿にジンとしました。ただ、いつもの『まるちゃん』じゃなくて、どこかにマクベスを潜ませたままのまるちゃんで、やっと二時間半ぶりに息を吐けたような気もしつつどこかで知らない人をみているような感覚もあった。


カテコのこと、少しだけメモ。
・二回目キャストさんみんなで出てくるときまるちゃん先頭で入口手前に何か(剣?)が落ちてて、スッと退かす。その仕草が自然で会場キャ♡ってなった。
・足元のカメラに「これも繋がってるんですよね」って見てくれたけど切り替えるタイミングが合わなくて映った頃には足だけしか!!映ってない!!しかしまるちゃんの足を下から眺めるなどこれはこれで贅沢な体験…
・子役の子に「大阪の人に一言」と振ったら「観に来てくださってありがとうございます!」みたいなこと言ってくれた。しっかりしてたしかわいいしでにやにやしちゃった (大拍手)
・最後はけ際 (中継カメラこれ?) って指差して確認し、大阪〜 ありがとう〜ってお手ふり&笑顔をくれたのがうれしかった… こちらこそほんとうにありがとう!



ライブビューイング自体はARASHI BLAST in Hawaiiを観に行きましたが映画館と劇場、ライブと舞台、異なる設備の中でまた違ったものでした。舞台は声が少し反響して聞こえづらいところもあったけれど、カメラも複数用意してくださり、良きところで寄ってくれるし何にも不満なんてなかった。映し出された表情はどれも素晴らしかった。
でも、どちらにしても画面越しの世界というのは変わらなくて、リアルタイムで行われていることなんだと思うことは難しくて、グローブ座でちゃんと観たかった。空気の匂いや温度を感じながら観たかったなあって心底思いました。贅沢だ。




晴れやかな顔つきでみんなを欺くのだ、
偽りの心をかくすのは偽りの顔しかないのだ。

この言葉をまるちゃんが放った瞬間びりびりっときた。
どうしてか分からないけれど、どこかで私はマクベスにまるちゃんを重ねてしまっていたのかもなあ。まるちゃんに対しても重たい愛をいつも持っているから。


マクベスが残りの公演も無事に、全員で楽しくお芝居でき、駆け抜けられますように。マルベスを村上くんも観に行けたらいいな。


しばらくは感情の渦に身を任せます。